帝都防衛航空隊_2

帝都防衛航空隊へ、多くの拍手ありがとうございました。
そんなわけで続けます。
こちらの続きです。


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サラマンダーはまた、頑丈であった。
有効射程圏内から明らかに命中弾を与えているのに、悠々と飛んでゆく事もあった。
また火を噴いてもたちまち消火する事が多かった。
おそらくこれは、自動消火装置が徹底されていたからだろう。

しかし弱点が無いわけではなかった。
一つはコックピットであり、もう一つは翼の付け根であった。
コックピットは防弾ガラス張りであったが、加速ビーム砲や30mm機関砲を受けきれるものではなかった。
また翼の付け根は意外に脆かった。
これは推測するに、サラマンダーはホバリングをする時や急激な運動をする際、翼を大きく羽ばたく。
最も金属疲労のたまり易い場所だったのではないかと思う。

ここに命中弾を与える事が最も撃墜への近道であったが、ピンポイントで狙い撃つのは困難であった。
そこで火器には改造が加えられ、射撃の射角が、あえてわずかだけブレるようにした。
これにより広範囲に弾が飛び散る事となった。
なにしろその中の数発が弱点を捉えれば良いのだから、これはまことに便利な装備であった。

またもう一つ、サラマンダーは爆撃時に護衛を付けない事も幸いであった。
これは恐らくサラマンダーの航続距離が長すぎる事が原因で、グライドラーやペガサロスでは援護できないからだろうと思われた。

貴重な犠牲は多数の戦訓を生み、ようやく我々はサラマンダーと対等に戦えるようになっていった。

防空のため、我々は各地を移動した。
ゾイド生産工場や新ゾイド開発研究所などは社会見学をしているような事もあり、なかなか楽しいひと時でもあった。
新兵器開発研究所ではシンカーとは全く別の空戦専門のゾイドも開発中との事で、それは後のシュトルヒであった。
この時パイロットの意見も聞きたいという事で、我々からの意見を述べる機会を頂いた事はよく覚えている。

私はここで、何より速力が欲しいと伝えた。
命中弾を与えても、しばし急所を外したサラマンダーは飛び続けた。
しかし手負いはあと一歩で撃墜できるように思え、火力もずいぶん沈黙をしたが、我々はそれを追撃する事が出来なかった。
なにしろサラマンダーはM2.0で、被弾して速力が落ちたとしても、まだまだシンカーより速かった。

我々はサラマンダー1機撃墜に対し、だいたい4から5機のサラマンダーには命中弾を与え「撃破」していた。
しかし逃げ帰られては意味が無い。
早々に修理を済ませたサラマンダーは再び帝国を襲うのである。
もしシンカーがM2.0を出せるなら、こうした手負いのサラマンダーは全てとは行かないまでも5から7割ほどには止めを与えていたであろう。
この点は資源において共和国に劣る帝国にとって、最も憂慮すべき点だと思えた。

こうして二年ほど、私は戦った。
その間、私は正式に海軍から空軍へと転属した。
私の他の121潜水部隊から召集された戦友は、皆、土に還った。
いつしか私は少尉に昇進し、飛行隊長になっていた。

この間の思い出深い戦いとしては、サラマンダー迎撃以外の戦闘に参加し事が挙げられる。
基本的に我々の戦いは防空であり、領空に侵入するサラマンダーを迎え撃つことであった。
それは我々が守らなければ後が無いという必死さとそれ故の士気を生んだが、同時に負け戦の印象を嫌というほど味わっていた。
だが一度だけ、共和国領土への侵攻戦に参加した事があった。

それはレッドホーンを超える帝国最強ゾイド・アイアンコングの完成に伴うものであり、帝国史上最も大掛かりな作戦であった。
アイアンコングは運動性能すばらしく、中央山脈の山々をも軽がる突破した。
また単機でゴジュラスを破壊する程の戦闘力を有しながら、それでいて操縦は容易、なおかつ量産の効きやすい構造であった。
アイアンコングが200機程度量産できた時点で、帝国は共和国領土への侵攻を開始した。
すなわち大軍をもって国境を越えたのである。

この時、空からコングを支援する隊として、シンカーは何部隊かが臨時召集され、私の部隊もその中に含まれていた。
いつもの防衛ではなく勝てば領土を広げられる戦いに、今までに無い興奮を覚えた。
ただ今までの対サラマンダー戦とは全く違う戦いに戸惑ったのは苦い思い出でもある。

コング部隊に呼応し、共和国は迎撃に入った。
こと地上部隊においてはコングが問題なく片付けたが、ペガサロスやグライドラーの航空攻撃には我々が対応した。
当たり前であるが共和国領土内なのだから、これら航続距離の短い戦闘機も駆け付けるのである。
グライドラー、ペガサロスは速力と運動性能素晴らしく、我々の射撃をヒラリと交わして後ろに回り、急激な空戦動機の出来ぬ我々は手痛い損害を出した。
その結果、打開策として提示されたは、ノーマルタイプのシンカーを使う事であった。

水空両用のシンカーに久々に乗り込んだ私は、懐かしいというよりギョッとした。
同時に、自分がもう航空パイロットなのだという事を痛感せずには居れなかった。
とにかく何もかもが緩慢であり、離陸距離は長く、上昇力は鈍くいつまで経っても上がらなかった。
なにゆえこのシンカーが今更引っ張り出されたかであるが、それは装甲であった。
ノーマルタイプの装甲は分厚く堅牢であったし、空戦型が禁止されている急激な動機も可能であった。
事実、この装甲はグライドラーやペガサロスの攻撃を全く無効化した。
我々が気をつけなければならないのは、エンジンへの被弾とペガサロスの嘴を使用した体当たり攻撃だけであった。
あとは撃っていれば落とす事はあっても落とされぬ事は無いという寸法である。

だが味方の損害は大幅に減った一方、敵を落とす事も稀であった。
被弾しても大丈夫だから強引に敵に近づく事は出来たが、シンカーが攻撃に移る瞬間、相手は容易に逃げた。
なにしろ最高速度が違いすぎ、ひとたび相手が離脱に移るとどうしようも無かった。
また最高速度だけでなく加速力においても大きな開きがあった。
私はこの時、撃墜はおろか撃破すらゼロであるという辛酸を舐め、この事は私の戦闘機パイロットとしての血を加速させる事になった、とにかく情けない事件であった。
ただこの戦闘のさなか、既に帝国にこのエースありと名を轟かせていたゴードン大尉などは10機以上の敵機を墜としたと聞き、後からその戦法についての講習が開かれ、いよ

いよ私は戦闘気乗りとして踏み込んでいったのであった。

コング部隊敗退の後、我々は再び空戦型シンカーに乗り換え、サラマンダーを迎撃する日々に戻っていった。
貴重な戦訓を糧に奮闘し順調に撃墜数は増え、いつしかサラマンダーの爆撃回数そのものが減ってきていた。
しかしそれは大いなる嵐を前にした一瞬の静寂であった。

私が少尉に昇進した少し後、基地のレーダー上に奇妙な編隊がキャッチされた。
それは明らかに共和国の部隊であったが飛行高度が低く、高度3000m程を飛行していた。
不審に思いながらも空に上がると徐々に敵の姿が視認できる程に近づいてきたが、その数はいつもより4、5倍ほども多かった。

数にまかせて強引な爆撃任務達成を狙っているものだと思い、これだけの低空からの爆撃は精密爆撃になるから絶対に阻止せねばならないと思った。
数は迎撃に出たシンカーよりも多いように思えたので、とにかくまずは撃墜よりも爆撃の妨害をせねばならないと思い、各機にその旨を通達した。
だが予想外な事に、サラマンダーの編隊後方にいた機体の一群が突然上昇し、我々の方に向かってきた。
護衛に戦闘機型サラマンダーを作ったのかと思ったが、それは全く違う機体であった。
また編隊後方から動いたのではなかった。
サラマンダーと形はよく似ていたが、はるかに小型な機体であった為、位置を誤認したのであった。
この機体こそ、シンカーの天敵となったプテラスであり、これがこの機体との初会敵であった。






続く
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